「何を大切にして生きているか」

暑さが続きますが、皆さまお元気でお過ごしでしょうか。

今年の夏も昨年に続いて、コロナの感染予防と熱中症対策の両方に、神経を使う日々を過ごしています。

まだまだ 気を抜くことなく自分を守り、家族を守り、また出会うであろう他者への優しい配慮が必要です。

 

私は仕事柄、開発途上国と呼ばれる国々に行かせていただく機会が多くあります。

数年前、アフリカ・エチオピアのコミュニティ支援の活動地を訪問しました。

そこは首都から遠く離れた貧しい村です。

その村の村長さんの家族とお茶をいただきながら村人の生活の状況や困窮している 事柄など、

生活の必要をうかがっている時です。

8才になる長男が将来の夢を語ってくれました。

「ぼくはお父さんのように上手に牛を操って畑仕事をやりたい。

 そしてお父さん のように村長になって村の人たちを助けたい」

と目を輝かせて話してくれました。

土にまみれ汗を流し、2頭の牛にくびきをかけて手際良く畑を耕す父の姿、

村の自立開発のために懸命に村人と働くその姿を、この子はどれほど羨望の眼で見つめていたのでしょう。
 

聖書の中にイエス・キリストのことばとして

『受けるよりも与えるほうが幸いです』(使徒20章35節)と記されています。

自分や家族の幸せのためには、貪欲にあらゆるものを 勝ち取ってゆくが、

周りの人々の必要には関心を寄せない。

そんな身勝手な生き方ではなく、

どうしたら弱い立場や痛む状況におられる方々と共に生きることができるか。

自分の持てるものを分かち合うことで生かされる人がいる。

イエス・キリストが自分の命という最も大切なものを、

罪深い私たちのために投げ出され十字架で死なれたように、

人が生かされるために自分にできること、

それを喜んで実践する生き方、それがあの男の子に受け継いでいたのです。

 

まだまだ続くコロナ禍の今、「ニューノーマル」な生き方の推奨が多方面で言われています。

私たちの生き方を今こそ変革する必要があるはずです。

それは価値観の変革とも言われ、何を大切にして生きるかが問われています。

「奪い合う生き方」から、それぞれが持てるものを喜んで「分かち合う生き方」へと舵を切り、

私たちにとって何が最も大切で価値あることかの見極めを問われているのではないでしょうか。

 

お近くのグレース宣教会においでください。

まだまだ続く困難な日常にあって、価値あるもの、私たちを生かす力、生きる使命、勇気がきっと与えられるでしょう。

 

グレース宣教会牧師 

日本国際飢餓対策機構巡回牧師

田村治郎

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